HELMUT LANG
当時から根強い人気を持ち、近年のアーカイブブームにより一大ムーブメントを起こしたブランド。
その型破りなデザインとミニマルなアイテムが人気を博しています。
このブランドの基本情報やデザイン、人気アイテム、中古相場まで大解説!
HELMUT LANG の基本情報
| ブランド名 | HELMUT LANG (ヘルムートラング) |
|---|---|
| デザイナー | ヘルムート ラング |
| 国 | オーストラリア |
| 立ち上げ時期 | 1976~ |
ヘルムートラングは1976年に始まったオーストリアのファッションブランドです。

元々はコレクションブランドではなく、オーダーメイドの仕立て屋として始まったこのブランド。
圧倒的なテーラーリング技術により創業当時から人気があり、1986年にパリでコレクションを披露するまでになりました。
今回はそんなヘルムートラングについて解説していきたいと思います。
HELMUT LANG の特徴

ヘルムートラングの特徴といえば極限まで研ぎ澄ませたミニマルなデザイン。
そしてゴム、羽、メタリックファブリックなどの普段のファッションでは使われないような素材を使用したり、ペンキの加工やミリタリーにみられるストラップ、テープなどをファッションに落とし込んだデザインの2点でしょう。
ヘルムートラングの特徴であるミニマルなデザインは白や生成り、ベージュ、グレーといったカラーとベーシックなコーディネイトを用いており、装飾性をなくして高級感を追及しています。

一方で型破りなデザインではゴム、羽、メタリックファブリックなど一風変わった素材を使用したり、ショルダーストラップやペンキ加工などを独特な表現で1990年代と2000年代初頭のファッションシーンに花を添えていました。

近年のアーカイブブームでより一層人気なのはこちらの型破りなアイテムの方です。
特異なデザインは着るだけでラングらしいコーデができるのでファッション上級者に大人気です。
アーカイブについては後に詳しく解説いたします。
HELMUT LANG のデザイナー達をご紹介!
ヘルムート・ラング (1976~)

ヘルムート ラングは1956年にオーストリアのウィーンで生まれました。
幼少時代に両親が離婚し、母親が引き取るも他界、田舎の祖父母に引き取られるという壮絶な幼少期を過ごしていました。
そういった、つらい出来事がありながらも独学で洋服作りを行います。
その際自身の作ったTシャツなどが友人間で好評となり、友人からの注文を受け製作、そこからオーダーメイドの仕立て屋を立ち上げます。
そう、ヘルムートラングは既製品のアパレルから始まったブランドではなく、オーダーメイドから始まったブランドなのです。
このオーダーメイドの経験が型破りなデザインを生み出すきっかけになっているのでしょう。
そんな彼は76年、ウィーンで自身のブランド「ヘルムート ラング」を設立。
86年、パリのポンピドーセンターで開催された「ウィーン展」でパリコレクション( レディース)にデビュー。
87年、メンズウェアでもパリ プレタポルテ・コレクションにデビュー。
98年からニューヨークコレクションに参加、と次々に活躍の場を増やしていきます。
その際に97年に「ヘルムート ラング・ジーンズ」、98年に「ヘルムート ラング・シャツ」、99年に「ヘルムート ラング・カシミア」とサブラインを展開しています。
以上のように大活躍を見せるラングですが99年3月にプラダにヘルムート ラング株51%を買収され、プラダ傘下に。
2004年12月にヘルムート ラング株の残りの49%もプラダに取得され、プラダの完全子会社となり、2005年1月、ヘルムート ラングがクリエイティブディレクターを辞任いたします。
ちなみにやめた理由は「ファッションの仕事を一生続けたくないというのは自分でも分かっていた。クリエイティブなことをするのは好きだが、名声と成功にはあまり興味がない。ファッションの世界で成功者になると、みんなにもてはやされ、すべての恩恵を受けることができる。そういう世界とは決別したかった」とのこと。
あと養鶏場をやりたかったからみたいです(笑)。
あくまで噂程度でしたが『Fantastic Man』という雑誌にて裸で鶏を抱く姿が掲載されており、「当時のファンはマジで養鶏場作ったのか」と驚いたとか(笑)。
もはや常人の発想には思いつかない無いですね(笑)。

ちなみに現在はファッション業界にはおらず、アーティストとして活動しています。
アート業界でもアバンギャルドな作風は変わっていません。
2011年の夏に開催した「Make It Hard」展の作品では自身がこれまでデザインしてきた洋服のうち6,000点を切り刻んでつくった柱を作っていたり、


2012年に開催された個展「Helmut Lang: Sculptures (ヘルムート・ラングの彫刻)」展では「破壊と再生」をテーマにゴムや泡状の物質、しっくい、洋皮、タールなどといった素材で制作した彫刻を作ったりしています。

最近の活動ですと「サンローラン(SAINT LAURENT)」がヘルムート・ラング(Helmut Lang)との協業で制作した彫刻作品を発表したことでしょう。

流石はヘルムートラングです。どこにいても彼らしい表現で見ていて感嘆です。
今後ファッション業界に戻ってくることはなさそうですがファンの方はぜひアート作品にも注目していきましょう。
マイケル・コロヴォス、ニコル・コロヴォス (2006~)

引退したヘルムートラングの後任としてディレクターを務めたのはマイケル・コロヴォス、ニコル・コロヴォスの夫妻です。
このお二人は「Colovos」、「Welkin」、「Habitual」ブランドの創設者で有名な人物です。
レディースをメインとして活躍しており、上記のブランドがバーニーズで取り扱われたり、2004年のCFDA(全米ファッション協議会)の新人賞を受賞していたりと輝かしい実績を持っておられます。
そんな彼らがヘルムートラングに選ばれた理由は実績も去ることながら、彼らが得意としていたデニムなどのありふれた素材をより細部にこだわり洗練されたクチュール的なものに仕立て上げる、という点です。
ブランド権を獲得したリンク・セオリー・ホールディングスの目指すブランドイメージとマッチしていることからディレクターとして任命されます。
以降、約8年間ディレクターを務めます。
滝沢直己 (2010~)

2010年にメンズラインをナオキタキザワのブランドで有名な滝沢直樹を迎え入れます。
彼はイッセイミヤケメンのクリエイティブディレクターやユニクロのデザインディレクターを務めていた人物でリンク・セオリー・ホールディングス代表取締役社長兼CEOの佐々木力氏との交流があったことからメンズラインのディレクターに就任します。
80年代の頃からのラングのファンであったという彼は就任当時のラングをレディースラインは好調だがメンズは失速していると言い、シンプルでフィットがいいのは大前提、ミニマリズムをデザイン力で成り立たせるというHELMUT LANG的な解釈を現代的に落とし込んでデザインしました。
以降2012年まで務めます。
アレクサンダー・プロコフ (2013~)

彼はロシア出身のデザイナーでマークジェイコブスのパターナーとして働いていた過去を持ち、「Cloak 」というブランドでミリタリーゴスという概念を生み出したデザイナーとして有名な人物です。
またGianni Versace Uomo のチーフ デザイナーや自身の名を付けたブランド「ALEXANDRE PLOKHOV」の立ち上げ、ユニクロとのコラボ、HELMUT LANGのデザイナーなど多くの実績を持っており、彼の作るアイテムには数多くの熱狂的なファンを生み出していました。
かくいう私もその一人だったりします(笑)。
Plokhov のスタイルはのびのびとしたライン、円熟したドレープ、厳然たるモノクロの色使いを得意としており、旧世界と都会の感性を癒合させたような独特な世界観を創造することに長けています。
ちなみに引退後は「NOMENKLATURA STUDIO」というブランドでデザイナーを務めています。
彼がデザイナーを務めた「Cloak」についての解説記事はこちら。
Cloakってどんなブランド?基本情報から中古相場まで大解説! (mens-brand-index.com)
彼がデザイナーを務めた「ALEXANDRE PLOKHOV」についての解説記事はこちら。
ALEXANDRE PLOKHOVってどんなブランド?基本情報から中古相場まで大解説! (mens-brand-index.com)
彼が現在デザイナーを務める「NOMENKLATURA STUDIO」についての解説記事はこちら。
NOMENKLATURA STUDIOってどんなブランド?基本情報から中古相場まで大解説! (mens-brand-index.com)
イザベラ・バーレイ (2017~)

2017年にイギリスのカルチャー誌「デイズド(DAZED)」編集長イザベラ・バーレイをディレクターに迎え、リブランディングを行います。
彼女は若手デザイナーとのコラボレーションコレクション「ヘルムート ラング デザインレジデンシー(HELMUT LANG DESIGN RESIDENCY)」とブランドの過去のアーカイブを復刻する「ヘルムート ラング リエディション(HELMUT LANG RE-EDITION)」を発表し、ラング好きを沸かせました。
ですがこのコレクション賛否が分かれる結果に(笑)。
HOOD BY AIRのデザイナーのシェーン・オリバー(Shayne Oliver)を招いて行われたコレクションではヘルムートラングのミニマルさを使っているだけのHOOD BY AIRといったものでした。
そのためラングのファンからはあまり受け入れられていませんでした。
HOOD BY AIRの人気も落ちていた時期なのでより不評を買っていたように思えます。
一方の復刻のラインではやはり大盛況。
高すぎて買えなかったあのアイテムが買えると大賑わいでした。まあ、転売、プレ値になるんですが(笑)。
そんなイザベラ・バーレイは2022年に任期満了となりました。
HELMUT LANGのアーカイブ

近年ではヘルムートラングのアーカイブが大変注目されています。
その人気っぷりは異常なほどで日本国内に留まらず、世界中の人々が探し求め、いわゆるプレミア価格となっている状況です。
基本的に本人期のものは総じて上がっているのでここでは代表的なものだけご紹介させていただきます。
より詳しく知りたい方はラングのアーカイブをまとめた本「1986-2005」という840ページもある本があるのでそちらをぜひ!
そちらの本ももれなくプレミア化していますが(笑)。
アストロバイカージャケット

アーカイブとなると大体挙げられるアイテムがこちら。
アストロバイカーと呼ばれるアイテムで型違いやカラーリング、素材など多くのアイテム種類がありどれも総じて人気が高いです。
正直いろんなパターンが多く相場が不明です。
大体10万円といったところでしょうか。
レアなモデルですと10万円を優に超えたりします(笑)。
名作だけあってかなりのカッコよさです。
ミニマルな出で立ちながらハーネスやベルクロ、ハーネスなどモデルによりけりですがカッコイイの一言。
あとラングのジャケット特融のショルダーストラップもあったりで、これこそラング!というアイテムです。
ミリタリーやアウトドアの物で見られるデティールで暑いときに背負えます。
まあ使うことあまりない気もしますが(笑)。
ちなみに復刻されたのはシルバーのもの。
僕の中のアストロバイカーといえばコレな気がします。
ペインターデニム

ヘルムートラングジーンズで人気のアイテムがこちら。
ラングの代名詞ミニマルなデニムにペンキを施したアイテムです。
シンプルなデニムは多く出回っており本人期のものにしてはお手頃ですがペンキのものは大体3万円くらいにはなります。
grailed.com
ちなみにカニエウエストはグレーのものを履いていたみたいです。
他にもまだまだ防弾チョッキなり色々ありますが長くなりそうなのでこの辺りで(笑)。
また市場に出回らないようなアイテムも多数あるみたいです。
僕も詳しくなりたいのでコメントでお知らせいただければ幸いです。
ちなみになぜ高騰したのかはこちらのコラムにて解説しているので気になる方はぜひご覧ください。
定価の値段帯
| Tops | 約¥10,000~ |
|---|---|
| Bottoms | 約¥25,000~ |
| Outer | 約¥50,000~ |
HELMUT LANG の中古相場
HELMUT LANG を中古で買う場合
ヘルムートラングの中古相場としましては本人期か現行物か、メンズかレディースかで分かれます。
基本的に現行物のメンズ、レディースはそこまで人気がなく、定価から考えると高くはないです。
といってもメンズの現行ものがほとんど出回っていないので相場もよくわからないんですが。
人気が高いのが本人期の物ですね。
シンプルなシャツやスラックスでも本人期というだけで少し高くなります。
中でもコレクションで使われるようなパンチの効いたアイテムだとかなり高額になります。
ちなみにリユースショップだと店員が本人期と分からず現行ものの相場で売られている場合があります。
そうなるとかなり格安で買えるので探してみるのも面白いですよ。
HELMUT LANG を売る場合
ヘルムートラングを売る際ですがこちらも本人期か現行物か、メンズかレディースかで変わってきます。
現行物のメンズはあまり出回らないので具体的な金額は分かりませんが定価の割には安い金額で売ることになるでしょう。
現行物のレディースは余り中古での人気が無く、かなりの安い金額になります。
一方の本人期の物は世界中の人々が探しているため高い値段で売ることが望めます。
やはりメンズのアイテムやメンズが着られるサイズの物が高くなります。
レディースの物で小さいものだと少し金額が安くなります。
といっても現行物と比べると雲泥の差です。
ちなみに本人期の物を売るのでしたらメルカリやヤフオクなどの個人間取引の方が高く売ることができます。
店舗の買い取りですと店員が知らずに安い値段になるとかざらにあるので。
それでもメルカリとか面倒だよって人は宅配買取もおススメです。
中古での値段帯
| Tops | 約¥2,000~200,000 |
|---|---|
| Bottoms | 約¥2,000~200,000 |
| Outer | 約¥4,000~200,000 |
中古通販サイト
古着バイヤーが見つけたおススメアイテム
相場を知り尽くした元リユース古着店の僕が見つけたおススメアイテムがこちら!
ラング本人期のデニムです。
一応レディースサイズの為安めの値段です。
とはいえ28インチですので細身の男性であれば余裕です。
正直ユニクロやAPCなどの細身デニムなどを買うより断然こっちをおススメします。
一応アーカイブを持ってるんだぜ、っていう欲が満たせます(笑)。
あと普通のデニムは高騰こそしないものの最悪飽きてもおなじくらいの値段で売れます(笑)。
値段もお手頃ですのでぜひ気になった方はチェックしてください!
HELMUT LANG を取り扱っているショップ
以下のショップで取り扱いがございます。(執筆時に取り扱いのあるショップを取り上げています。正確な情報は店舗に直接お問い合わせください。)
HELMUT LANG - GINZA SIX
所在地: 〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 4F
電話番号:03-6264-5393
営業時間: 10:30 – 20:30
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